ランニングをしていて、膝の外側に違和感や痛みを覚えたことはありませんか?
特に走り始めてしばらくするとズキズキとした痛みが出て、走り続けるのが難しくなる
そんな経験をされた方は腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)の可能性があります。
はじめに
こんにちは、大阪市北区てんま活法整骨院の木下です。
腸脛靭帯炎は、ランナーの約12%に発症すると言われており、特にマラソンや長距離を頻繁に走る人に多く見られます。
走りすぎたからだろうと軽く考え、マッサージやストレッチで一時的に対処する方も多いですが、実はそれだけでは根本的な改善には至りません。
なぜなら、腸脛靭帯炎の本当の原因は体の使い方とゆがみにあるからです。
今回は、なぜマッサージやストレッチだけでは腸脛靭帯炎が治らないのか、根本原因と日常生活での注意点について詳しくお伝えします。
腸脛靭帯炎の原因
腸脛靭帯炎は、膝の外側にある靭帯が、太ももの骨の外側のでっぱりと擦れ合うことで炎症が起きます。
走っている時の繰り返しの摩擦がきっかけですが、問題はなぜそのような摩擦が生じるのかという根本の原因にあります。
次の項では、その主な要因をひとつずつ詳しく解説していきます。
■ ランニングフォームの不良
多くの腸脛靭帯炎の方は、フォームの乱れが見られます。具体的には以下のような特徴です。
足のねじれ:足が内側にねじれるように接地することで、腸脛靭帯が過剰に引き伸ばされやすくなります。
膝が内側に倒れる:着地時に膝が内側に入ると、腸脛靭帯が骨と擦れる位置に押し込まれてしまいます。
ストライドが大きすぎる:足を前に出しすぎると着地の衝撃が強くなり、腸脛靭帯へのストレスも増大します。
これらはささいなフォームの乱れですが、長距離を走ることで刺激が繰り返され、徐々にダメージとなって蓄積します。
■ 股関節周囲筋の筋力低下
ランニング時の足を正しくコントロールするには、股関節まわりの筋肉が重要です。
とくに以下の筋肉の弱さが原因となります。
中殿筋:骨盤の横にある筋肉で、片脚立ちや走行時のバランスを保つ役割。
弱くなると骨盤が左右に揺れ、膝の軌道が乱れます。
大殿筋:お尻の大きな筋肉で、脚を後ろに蹴り出す力を生み出します。
弱くなると股関節の安定性が低下し、膝が内側に入りやすくなります。
これらの筋力不足により膝の位置が安定しなくなり、腸脛靭帯が常に引っ張られる状態が続いてしまいます。
■ 足部のアライメント異常
足のバランスや使い方のクセも膝や腸脛靭帯に大きな影響を及ぼします。
以下のような特徴がある方は要注意です:
扁平足:土踏まずが落ちていることで、足首が内側に倒れ込み(過回内)、その結果として膝が内旋しやすくなります。
回内足・過回内:足が過度に内側に傾く着地をすることで、下肢全体のアライメントが崩れ、腸脛靭帯への張力が高まります。
このような足部のクセがあると、走るたびに膝がズレた状態で動くため、腸脛靭帯に摩擦が生じやすくなります。
■ 過度なランニング量と急なトレーニング増加
腸脛靭帯炎はオーバーユース症候群、使いすぎ症候群のひとつです。
以下のようなケースで起こりやすくなります:
急に距離を伸ばした:月間走行距離を一気に増やすと、筋肉や靭帯、関節が耐えきれずに炎症が起こります。
休養不足のまま連日走った:回復する前に再び負荷をかけることで、微細な炎症がどんどん蓄積していきます。
坂道トレーニングを急に始めた:上り坂では股関節と膝に、下り坂では着地時の衝撃が大きくなり、腸脛靭帯への負荷が跳ね上がります。
体が順応できる範囲を超えたトレーニングは、結果としてケガに繋がりやすくなります。
■ ストレッチやケア不足
腸脛靭帯は太ももの外側にある筋肉が骨に付く部分の強くて硬い繊維です。
以下のような状態では特に摩擦が起こりやすくなります。
太ももの外側の緊張:柔軟性が低下すると、膝の曲げ伸ばし時に靭帯が骨に強く擦れます。
筋膜の滑走不良:水分不足やケア不足によって筋膜同士の滑りが悪くなり、動作のたびに引っかかるような動きが生じます。
日常的なケア不足:運動後のアイシング、ストレッチ、筋膜リリースを怠ると、炎症が慢性化しやすくなります。
単に筋肉の硬さだけでなく、体のバランス、使い方、日常のリカバリー方法までを考えることが必要です。
以上のように、腸脛靭帯炎は単純な使いすぎではなく、複合的な要因が積み重なって発症します。
マッサージやストレッチで表面的な緊張を取るだけでは根本的な解決には至らず、ランニングフォームや筋力、姿勢や身体の使い方までをトータルで見直すことが本質的な改善への道となります。
体のゆがみの解説
腸脛靭帯炎の根本原因のひとつに体のゆがみがあります。
このゆがみとは、体の左右の対称性、筋肉のバランスが崩れてしまっている状態を指します。
日常生活のクセや筋力のアンバランスによって無意識にゆがみが蓄積され、その結果として膝や腸脛靭帯に負担が集中しやすくなるのです。
ゆがみ=筋肉の状態+生活習慣+動作のクセ
体のゆがみは、単に骨がズレているだけでなく、以下の3つの要素が絡み合って生まれます:
筋力のアンバランス(特に体幹・股関節周囲)
反復される日常の姿勢やクセ(片足重心、座り方など)
無意識の動作習慣(走り方・歩き方・階段の上り下り)
腸脛靭帯炎の真の解決には、これらすべてを把握して、根本から修正していくアプローチが必要なのです。
対策
セルフケアでは届かない日常動作の見直し
腸脛靭帯炎は、一度炎症が落ち着いても、再発しやすい傾向にある疾患です。
なぜなら、痛みの出た原因(フォーム・姿勢・生活習慣)が変わっていない限り、同じ負荷がまた腸脛靭帯にかかってしまうからです。
ここでは、症状の再発を防ぐための日常生活における注意点を5つの視点から解説していきます。
■ 1. 長時間の座りっぱなしを避ける
座っている時間が長くなると、股関節の前側や太ももの外側が硬くなります。
この硬さが体幹から下肢の動きに制限をかけ、骨盤・股関節の可動性が落ち、膝にストレスが集中する原因になります。
【実践ポイント】
1時間に1回は立ち上がり、屈伸、膝の曲げ伸ばしなどで体を動かす。
椅子に深く座り、背中と腰を丸めないように注意
長時間の座りっぱなしは、知らず知らずのうちにランニング時の可動性低下を招いています。
■ 2. 片足重心のクセに注意する
無意識のうちに片足に体重をかけるクセは、骨盤の傾きや股関節の筋力バランスを崩す原因です。
これにより、足の軌道が偏り、腸脛靭帯に過剰な緊張が起きやすくなります。
【実践ポイント】
鏡の前で真っ直ぐ立った姿勢をチェック。
両肩の高さや骨盤の左右差など
信号待ちや電車待ちでどちらか一方に乗っていないか意識する
靴のソールのすり減り方を見ると、偏りの有無が分かります
左右均等に立つことは、地味ながらも股関節と膝の安定性を高める第一歩です。
■ 3. 階段・坂道での足の使い方を見直す
下り坂や階段の下りでは、膝にかかる衝撃が上りよりも2~3倍に増加します。
腸脛靭帯はこの衝撃による伸ばされながら力を発揮する状態が最も負担がかかります。
【実践ポイント】
下りでは歩幅を小さくし、重心を後ろに引きすぎない
上りでは、太もも前ではなくお尻で押し上げる意識
手すりを軽く使うのも負担軽減に有効
こうした力の入れ方のクセが腸脛靭帯へのダメージを蓄積させている原因です。
■ 4. ランニングシューズの見直し
足元は体の土台です。
ソールがすり減った靴、クッション性が失われた靴を使い続けると、着地の衝撃を直接膝や腸脛靭帯が受けることになります。
実践ポイント】
月間走行距離が150km以上の方は、500~700kmで買い替えが目安
自分の足型・走り方に合った靴を、専門店でフィッティングしてもらう
クッション性・サイズ感・フィット感を必ず確認
安易に人気ブランドだからと選ばず、自分の足に本当に合う靴を見つけることが大切です。
■ 5. トレーニング量・スケジュールの調整
痛みの出やすい人ほど、真面目でがんばり屋さんである傾向が強く、休むことに抵抗を感じがちです。
しかし、体は常に回復と負荷のバランスの上に成り立っています。
【実践ポイント】
週に何キロ走るかではなく、走った翌日にどう感じるかで判断
トレーニングの内容を「強→軽→休→強」とリズムよく組み立てる
痛みや違和感を感じた日は、思い切って完全休養を取る勇気を持つ。
効率的な回復が、長期的には記録と健康の両立につながります。
まとめ
上記の5つのポイントは、すぐに取り組むことが出来る内容です。
セルフマッサージやストレッチと違い、軽視されやすいのですが、痛みの根を断つためには、こうした体の使い方や日常の意識が極めて重要です。
日常のクセこそが腸脛靭帯炎のきっかけであり、それを変えることで、根本的な改善と再発予防が可能になります。
腸脛靭帯炎は、多くのランナーが経験するトラブルですが、決して走りすぎだけが原因ではありません。
マッサージやストレッチで一時的に症状を和らげることはできても、再発を防ぐためには、体の使い方や姿勢のクセと向き合う必要があります。
痛みや不安を抱えて、走ることを諦める理由のは辛いですよね。
根本的な原因に向き合うことで、もっと快適に、もっと長くランニングを楽しむことができるようになります。
対策をしたけれど症状が改善されない方はぜひ国家資格を持った専門機関を受診してください。
当院でも体のゆがみと体の使い方をもとにした根本的な改善をサポートしています。
てんま活法整骨院
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